自由に思いを綴る場所

谷本有香のエッセイやコラムなど。

仕事や現代の社会、経済ビジネスのこと、日々の出来事など幅広く自由に綴っていきます。

肩書が変わりました

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気がつけば、もう1カ月以上、更新せぬままでおりました。
というのも、この1カ月。
私にとっては仕事上で大きな変化があり、なんとなく落ち着かない日々を過ごしていたためです。
長年、「キャスター」という役割でお仕事をさせて頂いていたのですが、この5月から「コメンテーター」という職務に変わり、仕事内容は勿論、仕事時間も何もかもが大きく変わりました。

当初、役割の違いというものは当然あれど、見ているモノ(=株式市場はじめ、金融市場)は一緒なのだから、そんなに大きな変化も出まい、と思っていたのですが、明らかなる勘違いだったと気付きました。
当たり前の事ですが、それぞれ全く違う「別の」仕事なのです。
それは、通常、パネルディスカッションやディベートのような時に、ファシリテーターをさせて頂く事が多い私ですが、何度かパネラーとして参加させて頂いた時に受けた衝撃以来のショックでもありました。

パネラーとして初めて参加した時に感じた事、それは、「こちら側の席に座るのは、なんて楽しいのだろう!」という、会の進行や展開に対する無思慮・無配慮ともいえる気楽な発想でした。
なぜなら、時間も気にしないでいいのです。パネラーの人たちの意見のバランスを考えなくてもいいのです。どんな展開になるのかは司会任せで構わないのです。ただ、自分の意見を言うタイミングや、その述べたい意見がいかに、今いらしているオーディエンスの方々の心に刺さっているか、刺さるかということだけに集中すればいいのです(普通、ほとんどのパネラーの皆さんは全てこれらも意識されてやっていらっしゃいます)。
ファシリテーターの時も十分に楽しんでやっているつもりでしたが、その楽しさたるや、比較になりません。その時に、「ああ、同じ会に参加するのでも、ポジションが違えば、こんなに見える世界が違うのか」と感心したものでした。

そして、この度のコメンテーター。
上記のように、進行への気遣いから解放された、お気楽な心持ちかといえば、実は、むしろ正反対の心境です。自分の裁量で決める事が出来ない限られた時間の中でコメントをするという事は、大変なプレッシャーを感じる瞬間でもありますし、発された言葉が少なくとも私の数少ない引き出しの中から見つけたコメントの中では最適だったのだろうか、と常に常に反省しきりです。
ただ、一方で、違った立場に立ってみたからこそ、見えてきた世界もあります。
今まで番組全体を見渡せていたかのように思えていた自分が、実は一側面からしか番組を捉える事しか出来ていなかったことに気付いたのです。不完全だったものが補完されたような、番組をよりクリアな目で見られるようになった感じです。だからこそ、新たな目線で気付いた改善点などがいくつかあるので、これは随時、修正していかなければならないと思っています。

そう考えると、今まで私は、日本企業のジェネラリスト育成に関して、少し懐疑的で、もっと最初から専門職のようなプロフェッショナルを増やしていった方が企業は強い体質になるのではないかと考えていたのですが、この考え方も間違っていたかもしれません。
勿論、プロフェッショナルとして、専門の度合いを強めていくことはやはり必要だと思いますが、他の視点を体験したからこそ、よりその専門的技能が磨かれるという事はあると思います。自身の所属する企業をジェネラリストとして見るからこそ、より多角的に、真実に近い形で正確に評価でき、結果、総合的に正しい判断が下せるようになるのだと思います。

私も、この新しい視点を大事にしつつ、まずは何よりも、今のポジションで少しでも皆様のお役にたてるようなコメントをすることができるよう、日々精進して参ります。

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