自由に思いを綴る場所

谷本有香のエッセイやコラムなど。

仕事や現代の社会、経済ビジネスのこと、日々の出来事など幅広く自由に綴っていきます。

ファンドレイズ

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最近、頓にNPO団体の代表にお話を伺う機会が増えています。
NPOの活動が生み出す社会への影響度はここにきて急速に高まっているように見えます。
いつの日か私も行政も民間企業も出来ない社会ニーズに応えられるようなNPOをやってみたい、と昔から常々思っていましたが、このNPOという組織体は今後、益々注目されていきそうな気がします。

それにしても、それぞれのNPO団体のリーダーないしメンバーは非常に専門性も高く、何よりも熱い思いをもって社会活動に携われていらっしゃり、毎度大変勉強させられるとともに、大いに感銘を受けています。お会いするたびに、こんな素晴らしい人が世の中にはいたのか、と自分の日頃の愚行に反省しきりです。

ところで、実は私も寄付者として某団体に協力しているのですが、やはり出資者としてリターンが非常に気になります。それは、いわゆる株などの金融商品でいう金銭といった直接的リターンではないだけに、求められるハードルも高いような気がします。
少なくとも私が求めるのは、「自分が寄付した資金がいかに効率的に最大化されて使われているか」。
そして、それを確かめる手段としては、団体のアカウンタビリティーに頼るしかないのですが、NPO数多くあれど、それをきちんとやっているところはそんなに多くないという印象です。
本当に誤解されがちですが、NPO=NonProfit Organization(非営利団体)というネーミングから、特に日本では“ボランティア”という概念が抜けないように思います。慈善事業だから資金集めに精を出すのは邪道との考えからでしょう。しかし、それは、出資者にとっても、団体を運営する側にとっても決していいことではありません。
資金があってこそ、やり遂げたい事業が成される事も多々あるでしょうし、資金はその目的を果たすための手段でしかありません。NPOもファンドレイズをきちんとやっていかなければいけないと思います。

もしも欧米並みに寄付金を集められるようになるなら、平均10万円台と言われているNPO職員の方々の月収も上がるでしょうし、何よりも欧米のように優秀でやる気のある人材(特に新卒者)がNPOに入っていくということも考えられます。 新卒者の就職難も続いていますし、そして、能力があるにもかかわらず、年齢で退職されていく方々のような優秀な人材の雇用の受け皿にもなり得ます。

NPOにとって資金を集めることは本義を果たすために絶対不可欠なものです。
そのために、いつまでも公的資金に依存する収入構造をNPOは変えていく必要があると思います。
友人のチャリティ・プラットフォームの佐藤大吾氏は「NPOが本当に人の心に訴えかけるような想いを持ち、そして、それをきちんと伝えきる事が大切」だと言います。必要なのは税額控除のような税制改革だけではないのです。
今でも十分に社会貢献をしているNPOですが、更に寄付者の満足する結果を出すとともに、社会への貢献度を上げるために、やはり資金調達の重要性をもう一度見直す必要があるかもしれません。

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