企業も採活を!!

前回、就職活動の事を書かせて頂いたが、あれからも色々なところでそれに関する記事を読むにつけ、話を聞くにつけ、今年の就職活動は本当に厳しいらしい。私の大・大尊敬するビジネススクールの大先輩でいらっしゃる駒澤大学の各務教授も、
98年に大学での仕事を始められて以来最悪の状態だとおっしゃる。
この不況下、そもそも企業が採用数を減らしている中、学生たちがより安定志向・大企業志向になっていることが企業との間のミスマッチを起こし、就職活動を難しくさせているのでは、との指摘がある。確かに有効求人倍率からもそれが見てとれる。リクルートワークス研究所の調べによると、2011年度の大卒有効求人倍率は、従業員数5000人以上の大企業が0.47倍なのに対し、300人未満の企業は4.41倍と開きがあり、大企業志向の傾向を裏付けている。ただ、ミスマッチに関しては、実は改善しているのだ。2010年度と比較すると、5000人以上の企業が0.38倍に対し、300人未満は8.43倍。学生たちは長引く就職難で現実路線になっているのかもしれない。しかし、それでも、数字からはまだまだ大手への一極集中によって学生たち自らが競争倍率を高くしていることが確認できる。
学生たちが大手一極集中する背景には、上述したとおり、不況下で先行きへの不透明さからリスク回避の安全志向になるということ。また、主にネットを通して活動していることで、就職情報が掲載されていない中小企業には学生が気付かないという事もあるのだろう。
だから、学生たちよ、中小企業に目を向けよ!と人々は言う。
しかし、本当にそうだろうか。
そうだろうか、と言っているのは、中小企業に目を向ける事に対してではない。あたかも学生たちがブランドだけに着目して就職活動をしているというような指摘をする事に対してだ。そういう事を指摘する大人たち自身の中に、どれくらい優良な中小企業を把握し、実際に自分の子供などに勧めている人がいるだろう。
そして、就職先として目を向けてくれないと嘆いている中小企業の採用の方々も、どれだけ自分たちの企業が魅力的であるかを学生たちにアピールし切れているのか。勿論、十分に出来ている企業も沢山あるだろう。しかし、私は最近、就職活動のブースを拝見させて頂いたけれど、社会人経験の長いこの私でも、この会社は一体何をやっているんだろう、と思う企業ブースが沢山あった。ならば社会に出たこともない学生なら尚更、何の会社か予想もつかないのではないか。しかも、そういう企業に限って、学生たちがくるのをポツンと待っているだけで、活気も感じられない。せめて、わかりやすく自分たちの製品に関するものを持ってくるとか、学生たちに近い若い従業員を連れてきて、活き活き仕事を楽しんでいるところを感じさせるとか、映像を使って仕事場や工場の様子を見せるとか、会社のロゴが入ったグッズを配るとか、確かにコストはかかるかもしれないが、学生たちへ訴求する方法はいくらでもある。
また、中小企業ならではのこれからの成長力をアピールするとか、新人への即戦力化を訴えるとか、夢や希望を持たせるようなプレゼンテーションをする方法も沢山ありそうだ。また、会社のアピールだけではない。その会社の顔となるブースに座る人自身も「こんな人と一緒に働いてみたいな」と思われるような良いイメージを持たれる努力は必要だろう。学生たちだってしゃべり方の研究はじめ、笑顔の見せ方など、自分たちをより魅力的に見せるような練習をやっているではないか。企業側もトレーニングを受けるまでもないだろうが、学生と同じくらい真剣に向き合ってもいい(勿論、皆真剣にやっていらっしゃることも十分承知だけれど)。
就職活動は学生たちだけのものではない。
就活は企業と学生のマッチングの大切な機会なのだ。しかも、学生にとってはその人の人生を大きく変えるきっかけになるかもしれない重要なポイントである。だからこそ、企業側も真剣に、自分たちの考えに賛同し、一緒に励み、共に成功を目指せるような人材を探すための活動、採活(採用活動)をするべきなのではないか。